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できる上司ほどコミュニケーションは仕事でとる

飲み会や雑談で部下とコミュニケーションをとろうとする上司は多い。しかしできる上司は仕事そのもので部下とコミュニケーションをとる。部下の価値観や性格、キャリア志向や得手不得手など、組織で仕事をする上で必要となる、あらゆる情報を目の前の一つ一つの仕事を通じて知ろうとする。

仕事が忙しくて部下とコミュニケーションをとる時間がないという上司は多いが、部下の成長プランを真剣に考えていれば、自ずと一つ一つの仕事に込めるメッセージは充実してくる。十分な計画やプランがない上司は「いつか君も課長になったら」というような明確なイメージもできないような漠然とした未来の話をして誤魔化そうとする。

そのような誤魔化しのメッセージは部下には響かない。目の前の仕事の確かな意味、意義を伝えること。その仕事が与える影響や会社全体の価値創造プロセス、組織上の課題や解決の論点を確かに示し、部下の仕事の重要さを伝える。それができる上司のコミュニケーションだ。

残念ながら部下を鼓舞できる上司は多くない。上にゴマをすり、下にプレッシャーをかけ、そうやって成果をあげて出世する上司の多いこと。残念ながら組織とはそのような一面をもつ。このような組織は成果を上げるかもしれないが、仕事を通じて社員を幸せにすることはないし、社員も仕事そのものを通じて幸福感を感じようとは思っていない。もはやあきらめている。ただ資本主義社会はそれでも成り立つ。何ら問題はない。

しかし今、このような心や感情をないがしろにする組織にNOを突き付ける社員が増えている。若い社員の間では転職は当たり前だ。新卒で入った会社で定年を迎えようとは思っていない。もちろん大手企業や有名企業は別だろうが、そうではない大多数の会社は社員に選ばれる努力を怠れば、容易に人員不足に陥る時代になってきている。

1on1を通じて社員のニーズを探り、社員の満足感を高めようという動きも増えているようだが、そもそも普段の仕事で満足にコミュニケーションが取れない上司が1on1など満足にできるわけがない。部下の話を聞く時間のはずが、数分もたたないうちにお説教や自分語りを始めてしまう上司も多いだろう。そもそも1on1は米国シリコンバレーのテクノロジー企業が、本当に優秀な一部の天才エンジニアたちを自社につなぎとめるために血眼になって部下のニーズを満たそうと行っているものであって、日本企業に勤める普通の社員に対して、上司が会社からやれと言われたから仕方なくやっている1on1もどきとはわけが違う。1on1も、成果主義やジョブ型同様、米国の形だけをマネして失敗する日本企業の典型パターンの1つというわけだ。

じっくり本気で考えてみれば、目の前の1つ1つの仕事がどれほど重要なのか、語りつくせないほど話すことは出てくる。それができなくなっているほど職場は忙しくなり、仕事はインスタントラーメンのように味気ないものになっているのが現実だ。

仕事で満足にコミュニケーションをとれない上司が増えている現状に対して、部下の立場から何ができるだろうか。「この仕事の意味は何ですか?」なんて聞こうものなら、面倒な奴だと認定されるのが落ちである。やはり自分で仕事の意味や価値を見出すしかない。もしくは上司を社外で自分で見つけることだ。社外上司やメンターと言い換えてよい。仕事の意味を見いだせれば、やりがいは自分で生み出せる。同じ労働時間でも成長スピードや成果は上がる。市場価値も上がれば転職などキャリアアップも可能だ。上司に期待できないのなら、自分で自分を育てるしかない。そういう発想転換も一つだろう。

最後に、上司側のフォローもしておくと、もちろん上司も仕事ができるから上司になったわけだ。人間なので当然完璧ではないにせよ、1つや2つ秀でてるところがあるから出世しているのだ。部下の立場としては上司の良いところを見出し、そこから学び、上司の良さをうまく活用し、自身や仕事のために生かすことがよい。これについてはボスマネジメントという別のテーマになるので、またの機会に書きたいと思う。