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管理職から始まる地獄

管理職になりたくない人が増えている。一昔前であれば管理職になることが一つのステータスであったが、今ではむしろ罰ゲームであるとさえ言われている。

 

理由は以下の通り。

1.管理職は労基法の労働時間・休日の適用除外なため死ぬまで働かされる。

労働基準法では1日8時間、週40時間を超えて働く場合には残業代を支給し、そして残業時間も原則として月45時間、年360時間という上限が設定されている。また最低でも1週間に1日以上の休日を取らせなければならない。しかし管理職、正確には管理監督者にはこの規制は適用されない。残業や休日という概念が存在しないのである。仕事のためなら休みなく働かねばならないのが法律にも認められた管理職の宿命である。そのため、働きすぎて過労死したり心身を病んでしまうケースが後を絶たない。管理職において体調管理は自己責任なのである。もちろん過労死が起きれば遺族は企業と争い、企業側の安全配慮義務違反が認められれば労災や損害賠償請求も認められることになる。しかし、そこまで立証できない場合、管理職になった労働者は泣き寝入りを余儀なくされる。

働き方改革非管理職層は労基法の厳格運用によって守られるようになってきた。しかし、その皺寄せは管理職にいき、非管理職が終わらせられなかった仕事を巻き取って休日や深夜に残業せざるを得なくなっている。

 

2.非管理職の部下との給与額逆転現象もあり得る

管理職には残業代が支給されず月給は固定額となる。これは企業の人事制度にもよるが、管理職と非管理職の給与差がそこまで大きくない場合、例えば部下である非管理職が30時間残業した場合の給与額と、上司である管理職の給与額が同じもしくは逆転しているということはざらにある。繰り返しであるが管理職に残業代は支給されないのだから、たとえ100時間残業したとしても、部下が30時間残業しただけで部下のほうが給料が高いということだ。これに嫌気がさしてメンタルをやられてしまう人もいるだろう。企業側の人事制度設計の問題であるが、そもそも日本の管理職の給与水準は低いと言われている。労働時間・休日の適用除外となる管理職(=管理監督者)で年収650万円など、争いになれば管理監督者として認められず非管理職とみなされ残業代の支給対象者とされかねない水準だ。年収750万円でも割に合わないだろう。最低でも850万円、できれば900万円は欲しいところだ。しかし現実にそこまで払える企業は限られている。日本企業の管理職は責任の重さや労働時間を考えるに割に合わないのが現状だ。そしてその傾向はますます強まっている。

 

自分の上司が辛そうな顔をしている会社には夢も希望もない。とどのつまり、多くの日本企業には夢も希望もないだろう。現代における労働者の勝ちパターンは管理職を目指すことではなく、専門スキルを高めて、自由に転職したり給与交渉ができるだけの市場価値を手にすることだ。もしくは出世や成長に関心がなければ、そこそこ頑張って同期と横並びで昇給してそこそこのキャリアで定年を迎えること。これも一つの勝ちパターンと言ってもいい。成長や成功に踊らされて擦り切れるまで頑張りぬいて使い捨てにされることだけは避けなばならない。結論、特定の会社内だけで価値のある管理職というポジションの魅力は高いとは言えなくなってきている。

 

管理職から始まる地獄にどう対処するか、今から考えておかなければ、あなたも毎日つらい顔をして働き、休日出勤して疲れ切った上司と同じ道を歩むことになる。いま、市場で価値あるスキルをどう身につけ、どのようにキャリア自立を実現するか、本気で考える必要があるということだ。その見つけ方については、また別の記事で書いてみたい。